水深200m以上の深さを深海と呼びますが、
そんな深い海はいったいどんな世界なのでしょう?
200m以上もの深い海の中へは
太陽の光がほとんど届かないため、
暗くて何も見えないいわば暗黒の世界となっています。
私たちがよく知っている
「光にあふれた海のイメージ」とは
まったく違う深海。
そこには一体どんな世界が
広がっているのでしょうか?
深い水の底の水圧は実は想像以上。
私たちの暮らす地上は1気圧ですが、水中では約10m深くなるごとに水圧が1気圧ずつ増加します。
つまり200mの深海では約20気圧の圧力がかかるのです。試しにカップ麺をこの水圧に入れると片手に収まるサイズにまで縮んでしまいます。
深海に住む生き物はみな、この水圧に耐えられる特別な体を持っているのです。
海水温は深くなるにつれてゆるやかに低下していきます。
300mほどまでは10℃〜20℃ほどの水温がありますが、それ以降の深さになると急激に水温が低下していき、深さ3000m以上では1.5℃くらいで定着します。
水深が深くなるごとに太陽光が徐々にとどかなくなっていきます。一般に水深70m にとどく光は、地上の約0.1% 、200mから400mになると人にはまったく光を感じられない暗さになると言われています。
しかし魚は別で、水深約1,000mに棲む魚でも光を感知する能力をもっており、わずかな光を感じ取ることができるよう、極端に大きな眼を持つものが多いのも深海魚特有です。
また深海魚には赤い色をしたものが多いのも、深海と光の関係から。赤い色は青い光よりも水に吸収されやすいため、深海では青系の体色よりも赤系の体色の方がその身をカムフラージュしやすいのです。
深海はこれまで暗黒と静寂の世界だと思われてきましたが、最新の研究や深海での録音データによって、深海は実は「音に満ちた世界」であることが少しずつわかってきました。
例えば地震によって引き起こされる音や大型の嵐による風と波音など、いわば地球の脈動を伝えるさまざまな音。そしてクジラの鳴き声や、船舶のスクリュー音、さらには未だその音源が確認できないさまざまなノイズが入り交じって、あたかも不協和音が響き渡るような異質な世界が展開されています。
今後もさらに研究と実証が進めば、近い将来、私たちもリアルに再現された深海の音を聞くことができるようになるかもしれません。